結婚詐欺とは、一般的に異性の恋愛感情や結婚願望を利用して金銭をだまし取る詐欺行為です。
インターネットの普及と出会い系サイトや婚活サイトの利用者の増加に伴い、ストーカー被害・犯罪などと並んで、その被害相談の件数は増加の一途をたどっています。
婚活サイトの側も安全性を高めるために監視体制を強化していますが、危険性がゼロになったわけではありません。
素性を知らない男女の出会いだからこそ、利用する際には細心の注意を払う必要があります。
今回は婚活サイト・恋活アプリを利用している女性会員向けに、ネット婚活で起こりうる結婚詐欺の手口を知り、その対策を考えていきましょう。
ゴールインへの早見表
婚活詐欺師の特徴

実際に結婚詐欺師に出会ったり、結婚詐欺の被害に遭った被害者女性の口コミなどを見ると、いくつかの共通点が浮き彫りになります。
ここでは、結婚詐欺師の特徴をまとめています。
ハイステータス男性を装う
結婚詐欺師には「いかにも詐欺師」というバレバレな見た目をしている人はいません。
多くの場合、女性からモテそうな顔写真の掲載、高身長・高学歴で上場企業の会社員や社長・経営者などハイステータスな男性を装っています。
デートの際には高級車で迎えに来たり、高そうな服装やスマートな振る舞いだったりで女性が夢中になるようなタイプです。
さらに、既婚者男性が独身を装い、浮気相手探しを目的として婚活サイトを利用するケースも見られます。
「ブライダルネット」や「ユーブライド」など大手婚活サイトは本人確認こそ徹底していても、独身証明書を提出させるなど独身か既婚かのチェックまで行っているところはまれです。
この手の男性たちはプロフィール写真を見てもイケメン、プロフィールの年収欄・職業欄も驚くほど高スペックで、「どうしてこんなに素敵な人が結婚サイトにいるんだろう?」というレベルです。
そのため女性からは非常にモテますが、もちろんこれらはよく見せるための設定で、ハイステータス男性に弱い女性の心理につけこんだ悪質な手口です。
女性の結婚願望を利用する

婚活サイトには不釣り合いなほど魅力的な男性が言い寄ってくるわけですから、「婚活サイトで絶対に結婚相手を見つける!」という真剣度の高い女性ほど、結婚詐欺師の格好のターゲットになりがちです。
女性の結婚願望を利用して、
- 結婚式は派手に挙げたいね
- 結婚したら高級マンションに住みたいよね
など、夢を抱かせるようなことを言ってきます。
結婚願望の強い女性ほどこの手の会話に弱く、気づいたら収入や貯金、クレジットカードの枠までつい喋ってしまう事も。
結婚詐欺師は女性の結婚したいという心理を巧みに利用し、大切なお金を虎視眈々と狙っています。
女性の金銭感覚を麻痺させていく
結婚詐欺師は最初から高い金額を要求したり、無理な借金を負わせるようなことをしません。
むしろ逆で、最初は高級レストランや高級ホテルに連れて行ってくれるなど、お金持ち風で羽振りの良い雰囲気を漂わせています。
女性の方は「これだけ良くしてもらっているんだから、自分のお金を出さなくては」という気持ちになります。
このような状況になってしまったら、もう詐欺師の術中にハマってしまったようなもの。
結婚詐欺師は食事代やプレゼント代など無理のない範囲の金額を少しつづ払わせ、徐々に女性の金銭感覚を麻痺させていきます。
考える猶予を与えない

結婚詐欺師は高額な金銭を要求したり、高額な商品を買わせようとするときは、とにかく相手に不信感や冷静に考える時間を与えません。
- 今すぐお金が必要
- このタイミングで買っておかないと損
という煽り文句を使い、女性にお金を出させます。
お金を出してしまう時点ですでに、女性は相手のことを信じ切って結婚詐欺とは微塵も疑っていないため、気づいたら取り返しのつかないことになっていたというケースが多いのです。
婚活詐欺のパターン

結婚詐欺とは、女性の結婚願望を利用した詐欺行為です。
女性の結婚したいという気持ちの焦りや高揚を利用し、非常に巧妙な手口で財産を奪おうとしてきます。
結婚詐欺として考えられる手口のパターンは以下の通りです。
結婚詐欺
結婚詐欺とは、結婚を前提とした交際をしながら相手から金銭を巻き上げる行為です。
その手口は巧妙で、女性の結婚願望につけ込み
- 新規事業を立ち上げるために資金が必要
- 親が病気のため高額な医療費がかかる
といった同情を買うような内容、もっともな理由で現金を要求してきます。
- 相手と結婚したい
- 困っているから助けてあげたい
という一心でお金を払ってしまうと、連絡が途絶えて電話もメールも通じず、後から騙されていたと気づくことになってしまいます。
連絡先もデタラメな電話番号やメールアドレスであるため、二度と相手とのコンタクトをとることはできません。
客観的に見ると「そんなバレバレな嘘に騙される人がいるの?」と感じるかもしれません。
しかし、バレバレな手口でも「好きになった人と結婚したい」という気持ちを利用されると、つい信頼してしまうものなのです。
デート商法

デート商法とは、恋愛感情や結婚願望を利用して高額な商品や住宅ローンなどの契約を締結させる商法のことです。
一見すると彼氏・彼女の何気ない買い物に見えても、実は裏でお店や不動産会社とグルになっており、儲けの一部が成功報酬として詐欺師にフィードバックされる仕組みとなっています。
最近ではデート商法の被害報告は少なくなったようですが、それでも注意を払っておくに越したことはありません。
マンション投資詐欺
国民生活センターの調査によると、婚活サイトを利用して知り合った相手に勧められ、投資用マンションを購入してしまったという事例がここ数年で急増しているようです。
参考:http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20140123_2.pdf
従来のデート商法は、高くても高級腕時計や高級車など数百万円単位の商品を購入させるケースが多かったものの、昨今では土地やマンションなど数千万円規模の高額な投資詐欺の事案が報告されています。
1人当たりの被害額の平均は約3012万円、契約者の平均年齢は35.1歳、被害に遭った人の性別は被害女性が男性の2倍以上だったようです。
ある程度仕事ができて、蓄えもある30代後半から40代以上の女性がターゲットになりやすいと言えるでしょう。
婚活詐欺師に騙されやすい女性のパターン

詐欺被害に遭いやすい女性にはいくつかの特徴があります。
自分が狙われやすいタイプかどうか、確認してみましょう。
婚活の真剣度が高い女性
真剣度が高いことは、婚活を進めていく上で必須の要素ですが、その真面目さが結婚詐欺のターゲットにされてしまうことも。
- この男性とのチャンスを逃したくない
- これで婚活を最後にしたい
と焦りが出てしまうと、詐欺に付け込まれる原因となってしまいます。
男性からの押しに弱い

交際している男性から
- 相談に乗ってほしい
- お願いを聞いて欲しい
などとお願いされると、つい気を許してしまう押しに弱いタイプの女性は、結婚詐欺師のターゲットになりやすいと言えるでしょう。
判断を人任せにしがち
優柔不断な人、自身に決断力がなく他人に物事の判断を任せてしまうような人は、相手の言葉に流されやすいという傾向があります。
判断を相手に任せていた結果、いつのまにか口車に乗せられて詐欺被害に遭っていたというパターンです。
相談相手を欲しがっている

仕事や私生活、人間関係に悩み事があったり、悩みをだれかに聞いて欲しいと望んでいる女性は、結婚詐欺師に心の隙間に付け込まれる可能性が高いです。
婚活サイトのメール交換やデートの会話で、
- 相談に乗ってあげる
- 何度も話してごらん
と甘い言葉で言い寄ってくる男性には要注意です。
友達、知り合いが少ない
仕事で上京してきたばかりの人、仕事が忙しい人、平日休みの人などがこのパターンにはてはまります。
自分の悩みや不安を相談できる友達や、一緒に遊べる友達が少ないため、男性に言い寄られたり優しくされたりすると依存してしまい、その心理を詐欺に利用されてしまいます。
結婚を焦っている

20代後半~40代くらいの女性で、早く結婚したい、結婚を焦っているという人は要注意です。
強い結婚願望に付け込まれ、詐欺のターゲットにされてしまう恐れがあります。
年齢や周囲のプレッシャーもあって結婚を焦る気持ちは十分に理解できますが、詐欺に遭ってしまっては本末転倒です。
結婚を急ぐことはあっても焦りは禁物です。
相手の男性が本当にパートナーに相応しいかどうかじっくり見極め、冷静に判断するようにしましょう。
恋愛経験が少ない
恋愛経験が少ない女性は恋愛に対して非常に純粋な気持ちを持っています。
男性との接し方が不慣れなために
- 相手の期待には応えなくてはならない
- 相手の言うとおりにすれば大丈夫
という心理が働いてしまい、詐欺の男性に付け込まれてしまいます。
また、
- 人を好きになったら突っ走ってしまうタイプ
- 周りが見えなくなってしまう猪突猛進タイプ
の女性も、恋人が見つかった喜びで視野が狭くなり、冷静な判断ができなくなっています。
このような浮き足立った状態の女性は詐欺のターゲットになりやすく、当人は詐欺に遭っていることすら気づかないまま、高額な契約を結ばされたり、お金を失ったりして何も得るものがないというパターンです。
自分は絶対に騙されないと思っている

- 本当に婚活パーティーに結婚詐欺なんているの?
- 詐欺師がいたとしても自分は絶対に騙されない
こういった思い込みの強い女性ほど、実は結婚詐欺師の格好のターゲットになりやすいのです。
婚活サイトをはじめとする婚活サービスは、規制が入ったり法律が整備されたりして、結婚詐欺被害自体は減少していますが、結婚詐欺がゼロになったわけではありません。
明日は我が身ということだってありうるのです。
「絶対に騙されない」という思い込みほど、無防備な状態はありません。
もし自分が当事者になったら、詐欺被害に遭ってしまったらというシミュレーションをしておくことも、重要な予防策となります。
婚活詐欺に遭わないために気をつけること

詐欺被害に遭わないために、あるいは万が一詐欺被害に遭ってしまったときにとるべき方法を学びましょう。
第三者に相談する
自分一人で抱え込まず、婚活の悩みを話せる相談相手を持ちましょう。
婚活を内緒にしていたいという人もいるでしょうが、詐欺に遭ってからでは後悔するしかありません。
また「恋は盲目」という言葉があるように、一度相手を好きになってしまうと周りが見えなくなるタイプの人も要注意です。
恋愛感情や結婚願望が先走ってしまい、冷静な判断ができなくなってしまいます。
金品を要求されたり、結婚前に大口の契約を結ばされたりといった、明らかに怪しい事態になっていても相手を信じきって「疑う」ということをしないため、気づいたら後の祭りというケースが跡を絶ちません。
詐欺被害の相談は友人や両親よりも、結婚詐欺に詳しいNPO団体や、無料相談窓口を設けている探偵事務所や弁護士事務所に相談することをおすすめします。
また婚活サイトを選ぶ際も、活動のサポートをしてくれる婚活コンシェルジュのようなスタッフがいるところを選ぶと良いでしょう。
あまりに結婚詐欺が悪質な場合は、警察に被害届を提出することも必要です。
これまでのメールでのやりとりや領収書などのような証拠は残しておきましょう。
相手の個人情報を確認する

婚活サイトに新規登録する場合は、免許証やパスポートなどで本人確認・年齢確認が実施されていますが、結婚詐欺かどうかまでを審査することはできません。
大手婚活サイトで出会ったからと言って、マッチングした相手の個人情報や身元のチェックは怠らないようにしましょう。
結婚という大事な節目を迎えるにあたって、極端に個人情報を見せることを嫌がったり、拒否するような怪しい挙動がある場合は、すぐに交際をお断りするべきです。
健全な関係であれば、拒否したり隠したりする必要もなく、普通に教えてくれます。
婚活サイトの詐欺被害でよくあるケースは、マッチングした相手が既婚者であることを知らされず、婚約後に逃げられるパターンです。
相手の交友関係やSNSの情報などもチェックしておくと良いでしょう。
結婚詐欺師や経歴詐称の疑いがある場合、バレることを恐れて免許証や名刺を見せてくれない、自宅や職場を教えてくれないなど自分の素性を隠そうとするはずです。
結婚前にお金は絶対に渡さない
- 生活費に困っていて
- 親の介護費が必要なんだけど
などと言ってお金を要求されたとしても、絶対にお金は渡さないようにしましょう。
たとえパートナー候補であったとしても、夫婦もでない相手にお金を貸して返ってくる保証はどこにもありません。
金銭を要求してくる結婚詐欺師は、最初から相手が到底払えないような巨額のお金は要求しません。
多くの場合は数万円の金額を複数回にわたって要求したり、ローンを組んで買わせたりなど、真綿で首を絞めるような詐欺行為を働きます。
「借用書を書く」などともっともなことを言ってきても、正式に履行されるとは限りません。
そもそも、交際中の相手にお金を借りる、無心するような男性と幸せな結婚生活など送れそうもないですね。
恋愛関係にあって、相手の男性のことがどれだけ好きでも、自分の財産を守ることはシビアに考えましょう。
銀行の預金やクレジットカードについて話さない

「結婚前の男性にお金を貸さない」と同じように、銀行の預金やクレジットカードについてついて聞かれたとしても、絶対に答えてはいけません。
それらの情報は、
- いくらまでなら貸してくれそうか
- ローンの枠はどれくらいあるか
といった、高額な商品を買わせたり金品を要求するための情報になるからです。
直接「貯金額はどれくらいあるの?」とは聞いてきません。
慣れた結婚詐欺師は巧みな会話で聞き出そうとするため、お金に関する具体的な質問には一切答えないようにしましょう。
身元確認をしっかりとしている婚活サイトを利用する
手軽に始められる婚活サイトだからこそ、結婚相談所などに比べると結婚詐欺師が潜り込んでいる可能性が非常に高いと言えます。
月額料金の安さや入会のしやすさが婚活サイトのメリットですが、自分の身を守るためにも入会審査のある婚活サイトを選びましょう。
大手の婚活サイトであれば、入会時に身分証明書による本人確認・年齢確認を徹底しており、24時間365日のセキュリティー体制が整っています。
また先ほど触れたように、婚活コンシェルジュのようなプロのスタッフがやりとりの仲介をしてくれることで、詐欺師との遭遇を未然に防ぐこともできます。
https://yume-con.net/archives/1696
まとめ
婚活サイトに潜む結婚詐欺師の実態と対策のポイントについて解説してきましたが、ネット婚活で出会う多くの男性が、真剣に結婚を考えて活動していることも忘れてはなりません。
しかし、どれだけ婚活サイトの監視が強化されたり、規約が整備されたとしても、お年寄りから金銭を騙し取るオレオレ詐欺が未だに問題視されているように、結婚詐欺の被害者も跡を絶ちません。
「まさか自分が」と思っていても、明日は我が身ということも。
婚活サイトは結婚願望を持った女性が集まる場所であるため、独身女性の心理につけ込んだ結婚詐欺の格好の釣り場です。
自分の身や財産を悪質な詐欺から守るためには、「絶対に騙されない!」という強がりよりも、「万が一自分が被害に遭ったらどうするか」という知識と具体的な対策が必要です。